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翡翠館 庭園

デザインを替えてみました。少しは読みやすくなったかも。前のデザインの方が雰囲気はよかったんですが…… イギリスのロマンス小説の作家、ベティー・ニールズの紹介をしていきます。独断と偏見と妄想にもとづくブログです。どうかご容赦を……。
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Tempestuous April 

原題:Tempestuous April (邦訳されているかどうか不明) 初版:1970年

ヒロイン:Harriet Slocombe(看護師)
ヒーロー:Frisco Eijsinck(医師、オランダ人)

 初版の年から見るに、ニールズのごく初期の作品です。でも、古臭さがまるで感じられない。そういう意味では恋愛というのは時代を超えて不変のものなのだなと思ってしまいます。
 ニールズの作品の中ではヒーローは100%ハンサムですが、ヒロインは美人と平凡が半々といったところでしょうか。この話のHarrietはとびきりの美人ですので、まさに夢のような美男美女のカップルです。私みたいな平凡な人間から見れば、美女は恋愛問題で悩む必要はないのではないかと思うのですが、そしたら美女がヒロインのロマンス小説は10ページくらいで終わってしまうので、こういう場合、様々な障害というものが出てきます。ヒーローに婚約者がいたり、ヒロインが元彼に付きまとわれたり、ヒーローが超鈍かったり……。この話の場合の障害は、Friscoがプレイボーイだったことでしょうか。
実際はそうではなかったんですが、何と言っても彼の“You’re very beautiful too, Harriet Shall I add you to my collection of girl-friends”という台詞は決定的で、私でさえ、「このプレイボーイがあ!」と思ってしまいましたからね。ニールズの作品のヒーローでこんなこと言ったのはじめて見ましたよ。真実はともあれ、こんなこと言われたのでは、自分は彼のガールフレンドの1人に過ぎないと思ってしまうじゃあありませんか。それで、ヒロインは悶々とするわけです。Friscoは好き、でも、彼の大勢のガールフレンドの中の1人になる気はない。
 それでも、話が進むうちにFriscoのHarrietに対する愛情表現もだんだんエスカレートしてきて、Harrietが「私はやっぱりFriscoに愛されているのかも」と思い始めたところでずどんと落とし穴に落とされます。Friscoも別の穴に落とされます。2人を落としいれたのは……。
 読んでいけば普通にわかるので、ネタバレにもなるし伏せておきますが、恋は盲目というか、よく考えればわかりそうな落とし穴だったんですけどね。
 この話では、ヒーローは最後にヒロインの実家に迎えに来ただけで、舞台はほとんどオランダでした。こういう話もあるのですね。
 

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せつない秋


せつない秋 原題:Tangled Autumn 初版:1977
ヒロイン:サファー・デヴェニッシュ(看護師)
ヒーロー:ロルフ・ファン・ドイレン(医師、オランダ人)
 
これは、確か私がニールズの作品で2番目に読んだ本だったと思います。この頃は特にベティー・ニールズの作品にこだわっていた訳ではないので、ただ単にハーレクインの中の1冊という感覚で買いました。
 
ヒロインのサファーはロンドンの病院で婦人外科病棟の師長をしていましたが、恋人のアンドルーとの恋に破れ、医者である伯父にスコットランドである婦人の専属看護師にならないかと持ちかけられ、それに飛びつきます。ところが、現地へ赴く途中でガス欠で車が止まってしまい立ち往生していると通りがかりの男性が助けてくれるのですが、彼の態度の横柄さに腹を立てるサファー。実は彼はサファーが看護することになっている婦人の息子で、医者で、オランダ人で、男爵であるロルフだったのです。
 
この作品は原題が示すとおり、かなりもつれています。お互いに愛し合っているのにもかかわらず、ロルフはサファーが昔の恋人アンドルーを忘れられないでいると思っているし、サファーはロルフに嫌われていると思っているし、ヒーローの妹アントニアは、アンドルーに熱を上げるし……。とにかく意思の疎通があるんだかないんだか、二人の会話を読んでいると、何でこうなるの?と首を傾げたくなります。まあ、最初の出会いでつまずいてしまったことが原因なんですけど。それと、タイミングの問題かな?
 
ニールズの作品では美人のヒロインと、平凡な顔立ちのヒロインがだいたい半々くらいの割合で登場しますが、美人のヒロインでも、それを鼻に掛けたり、自信満々に迫っていくヒロインはまずいないですね。どんなに美人でも、ヒーローに愛されているという確信が持てなくて悶々とする、というパターンがほとんどです。これは、ニールズがそういうヒロインに固執しているからなのか(私もそういうヒロインが好きです)、それとも、実際にどんなに美しくても恋をすると不安になるものだからなのか……。美人になったことがないのでよくわかりません。でも、サファーも明らかに美人だけどロルフに対しては全く自信が持てない。
 
実は、この作品はあまり読み返すことのない作品でした。つまり、それほど気に入った作品ではないということです。全体の8割~9割はよかったんだけど、最後の方でサファーとアンドルーの仲を誤解して嫉妬したロルフが、サファーを自分の家から追い出すシーンがあって、その様子があまりにも冷酷で……。私はヒロインがヒーローに酷い仕打ちをされるという話が苦手、というか、好きではありません。だからしばらくずっとお蔵入りだったんですが、先日読み返してみて、ロルフの心情がわかっている分、それほど酷い話ではなかったかも、と思わなくもないかなと思いました(すごくあやふやですが)。
 
どんなにもつれていても、最後には丸く収まる、そしてこれから先もずっとこの2人は幸せに暮らすだろうと思わせてくれたラストシーンがあればこそ、救われるお話なのでした。

教授と私

教授と私 原題:Two Weeks to Remember 初版:1986年
ヒロイン:チャリティ・グラハム
ヒーロー:ジェイク・ワイリーライアン
 
 ニールズはチャリティという名前が気に入ってるらしく、チャリティという名のヒロインはこれで3人目です。
 
 ヒロインは背が高くて美人なのに家庭環境のせいで社交的な生活とは縁遠く、恋愛に関してはかなり晩生。でも、昔からの知り合いのシドニーと付き合っていて、何となく彼と結婚するのかな、と思っていましたが、ある日突然彼女の方から彼に別れを告げます。このあたり、晩生なんだか、大胆なんだか、よくわからないけど、それで正解だったのだから彼女の内なる声がそうしなさいと囁いたのでしょう。
 
 そして、チャリティはワイリーライアン教授の自分の診療所の秘書にならないかというオファーを受け入れます。もう、この段階から教授がチャリティに好意を持っているのは明らかなんですが、彼の周辺にブレンダという女性がちょろちょろと見え隠れするんです。前任者や診療所の看護婦によると、教授が結婚を考えている女性だということだし、実際チャリティが教授の家で彼女と鉢合わせした時も、彼女はまるで婚約者然とした態度で振舞うし、ノルウェーに出張に行ったときもイギリスから電話を掛けてきて高飛車な態度で教授を探して来いと言う。でも、教授は一言も彼女についてコメントしないのです。ヒロインと一緒に私のほうもイライラが募りました。「いったい彼女は何なのよ!」
 
 結局のところ、教授とブレンダの関係は、チャリティとシドニーとの関係と一緒だったらしく、まだ婚約はしてなかったみたいですね。ブレンダみたいな高慢な女性と婚約に踏み込む前にチャリティと出会えてぎりぎりセーフ、といったところでしょうか。よかった、よかった。
 
 教授を愛しながらも、ブレンダの存在のせいで絶望感を味わいながら、とにかく有能な秘書になろうと奮闘するチャリティの姿は好感が持てます。でも、それ以上に嬉しかったのは、教授の、なんというか、可愛い一面を見ることができたことです。
 
病院の秘書が仕事を怠ったため、緊急にタイプしなければならない書類を診療所に持ち帰った教授は、勤務時間を過ぎたチャリティにタイプを頼まず、彼女をすぐに家に帰します。ところが、帰ろうとしたチャリティの耳にたどたどしいタイプライターの音が聞こえてきます。慌てて事務所に戻ってみると、教授が2本の指でタイプライターのキーを叩いていて……。ある意味、こういう弱みを見せてくれたヒーローはワイリーライアン教授が初めてですよ。可愛い!
 
原題のTwo Weeksというのは、2人でノルウェーに出張に行った2週間のことです。ウィークデイはひたすら仕事に追われる二人でも、週末には教授はチャリティを母親の家(ワイリーライアン教授の母親はノルウェー人)に連れて行ってスキーを教えたり、観光したりともてなしてくれる。チャリティにとっては夢のような、まさしく思い出す価値のある2週間なのでした。

指輪のゆくえ


指輪のゆくえ 原題:The Gemel Ring 初版:1974
ヒロイン:チャリティ・ドーソン(看護師)
ヒーロー:エフェラルド・ファン・テイレン(医師、オランダ人)
 
 この作品は、私の中ではかなり微妙な作品です。好きなんだか、嫌いなんだかよくわからない。どちらでもないってわけでもない。好きなんだけど気に入らないところがあると言うか、気に入らないんだけど、どうしても引き付けられる所もあると言うか……。
 
 気に入らない点から言いましょう。ヒーローの性格です。傲慢で皮肉屋で意地が悪い。そもそも、最初に出会ったときの台詞が「英語で話そう。君のドイツ語の英語訛はかなり耳につく」ですからね。それから偶然の悪戯なのか、誰かによって仕組まれた罠なのか、チャリティはあるアメリカ人の看護を頼まれ、ハーグの地でエフェラルドに再会してしまうのですが、そのときも、彼はチャリティに対して喧嘩を売ってるとしか言いようのない無礼な態度をとります。これでは、ただ、ハンサムで有能な外科医という以外何のとりえもない(それだけで十分という人もいるかとは思いますが)男ですよ。エフェラルドは。でも、そんな彼をチャリティは愛してしまうんですよね。
 
 話が進むうちに、エフェラルドのチャリティに対する素っ気無い、というより、辛辣な態度は愛情の裏返しだということがわかってきますが、それではまるで好きな女の子を苛める小学生ではありませんか。40歳のいい歳した男性のすることかな。しかも、自分がチャリティを愛しているということに気付いたのが、実に物語の4分の3を過ぎてからで、いくらなんでも遅すぎるし、鈍すぎる……。
 
 この作品を部分的にでも良いな、と思えるのは、他の作品と同じように、ヒロインの性格が良いからです。チャリティは背が高く、スタイルも良く、美人で、しかも有能。看護に関することばかりではなく、フランス語は流暢だし、ドイツ語は訛があるとはいえ話せるし、車のA級ライセンスももっているという、スーパーウーマンです。それなのに、それを鼻に掛けることもなく、むしろ、隠そうとするあたり好感が持てます。本来なら、地位と富だけでなく性格的にも申し分ない男性に愛されてしかるべきなのに、相手が悪かったとしか言いようがない。
 
 エフェラルドの性格が気に入らないと言いながら、それでも何度も読み返してしまうのは、とどのつまり、恋に不器用な男なりに、エフェラルドが真剣にチャリティと向き合っているからではないのかな。今気が付いたけど、この作品では最後のプロポーズのシーンを除いて、エフェラルドの心境が語られている箇所が全くない。あるのは彼の言動だけ。言動だけを見てみれば、ただの意地の悪い男なんだけど、その裏で、彼がわけのわからないチャリティへの想いにもがき苦しんでいるんだろうなと、想像すると、何となく微笑ましくもなりますね。だから、1回目読んだときは気に入らなくても、何度も読み返していくうちに好きになってくるのかもしれない。
 
 それに、この作品を救っているのは最後のプロポーズのシーンです。チャリティへの想いを語るエフェラルドには傲慢さも冷淡さもありません。ただただ優しくて情熱的で、これがエフェラルドの本当の姿ならいいのだけど、いや、そうだと思いたいと、思うのです。

赤い薔薇とキス

赤い薔薇とキス 原題:A Match for Sister Maggy 初版:1979年
ヒロイン:Maggy MacFergus(看護師)
ヒーロー:Paul Doelsma(医師、オランダ人)
 
 アマゾンに予約注文していたニールズのペーパーバックが届き、最初にA Fateful Bargainを読み、次にこのA Match for Sister Maggyを読みました。途中まで読んで、「ああ、これ『赤い薔薇とキス』だわ」と気が付きました。アマゾンであらすじとレヴューを読んでいたからです。
 
 ヒーローのパウルについて、レヴューでは「情熱的なヒーロー」と評されていましたが、「情熱的」というより「精力的」だなあ、と言うのが私の感想です。それに、自分の決めたことはどんな手段を使っても絶対にやり通すと言う行動力と強引さにかけては、今まで読んだニールズ作品のヒーローの中ではピカイチじゃなかろうか。
 
 自分の母親の看護をマギーに頼んで、それを断られたときも、マギーの上司に当たるチャールズ卿とMatron(たぶん総師長)を味方につけて断れないように追い詰める。6ダースの赤い薔薇をマギーに贈ったのも、事をスムーズに進めるための便宜ではなかったのかと、マギーは思いますが、私もそう思いました(実際はどうかわかりませんが)。
 
 パウルが、オランダから逃げるように帰ってしまったマギーを追いかける様は圧巻です。マギーが帰ってしまった次の日の夕方にフェリーでオランダを発ち、次の日の午後にマギーの勤務する病院に到着するも、休暇をとってスコットランドに帰っていると聞かされると、総師長からマギーの住所を無理やり聞き出し、昼食を取って午後3時に出発。それから徹夜で車を運転し、翌日の朝にはスコットランドのマギーの実家に到着。マギーの実家のあるインバーネス=シャイアって、スコットランドでも北の方にあって、ロンドンからは600マイル、つまり960km離れてるんですけど。パウルって人は、行動力と強引さだけではなくて、気力と体力も並じゃない。しかも、その合間に親戚の主教に頼んで結婚許可証も用意しちゃうという、いやはや……。
 
 しかし、血相変えて追いかけるくらいなら、こうなる前にちゃんと「愛してる」と言えばよかったのに。マギーはずっと、パウルには結婚を約束するような親密な女性がいると思い込んでいてパウルを愛しながらもその思いを胸に秘めていたのですよ。結婚許可証を用意してマギーを迎えに行くって事は、彼女に愛されていると確信があったからで、じゃあ、とっとと「結婚してくれ」と言えばいいじゃん……、というのは、ニールズ作品のヒーローたちのほとんどに言いたい台詞ですけどね。
 
 180cmという大柄なマギーは、その体格にもかかわらず、あるいは、その大きさゆえに恥ずかしがりやさんです。でも、怒るとスコットランドの好戦的なハイランダーの気質が出てきて気丈になる。……大きくてもとても愛らしい娘さんでした。
 
 ハッピーエンドでよかったよかった(ハッピーエンドじゃない作品なんてありませんけど)。

片思いの日々

片思いの日々 原題:Matilda’s Wedding 初版:2000
 
ヒロイン:マチルダ・ペイジ(病院受付係)
ヒーロー:ヘンリー・ラヴェル(医師・イギリス人)
 
ニールズファンが日本に私一人だけってわけではなかろう、と思っていましたが、実際インターネットで検索してみると、ニールズ作品のデーターや感想をまとめてくださっているブログが2.3あって、とても嬉しいし、とても助かっています。
そういう、他の人たちの感想を読んでいて「え?」と思ったのは、作品に対する評価が私と同じものもあれば、全く違うものもあって、同じ作品でも人それぞれに受け取り方が違うんだなあと、改めて感じ入りました。
 
で、この作品は、他の人の評価と私の評価がえらく違った作品のうちの1つです。実は、この作品は私のお気に入りベスト3に入ります。というか、まだ、それほどニールスの作品を読んでいない頃はこの作品がダントツ1位だったんです。もう、何回読み返したことか……。
 
何でそんなに気に入ったかというと、第1はヒロイン、マチルダの性格です。美人ではないけど、それで卑屈になることはないし、堅実で控えめ、それに聡明でもある。超わがままな母親の言動にじっと耐え、働きながら家事全般をこなし、病身の父親の世話もする。
家計を助けるために病院受付係に応募しようと面接に行き、ヘンリーに一目惚れしてしまうのですが、前もって村人から彼には婚約者がいると聞いていたので、彼への恋心を隠し通そうとします。でも愛しいヘンリーに頼まれれば時間外労働も休日出勤もなんのその。健気なんです。本当に健気なんです。
 
 あと、ヘンリーもいい。最初はマチルダをただの受付係としか見ていなかったのに、なぜだかだんだん気になって……、と、結構ヘンリーの心がマチルダに傾いていく様子が描かれていて、こう、他の作品のヒーローのように超絶とした感じではなくて、わりと普通にいそうなタイプで親しみがもてました。
 
 もう1つ、この作品で特徴的なことで、且つ私が気に入っていることは、村人たちとの交流が丹念に描かれているところです。ニールズの作品でこういのは珍しいんです。ゴシップ好きの雑貨店の女主人、マチルダを下宿させてくれた未亡人、牧師夫妻に、レディ・トラスコット。それに、村人ではないけど、ヘンリーの叔母、アント・ケイト。母親が意地悪な代わりに、これらの人々がマチルダを見守ってくれているのです。
 
この作品に対する評価が低かった人の理由は、マチルダの母親のわがまま振りが目立ちすぎて作品全体の印象が悪くなったとのこと。でも私はヒーロー、ヒロイン以外の人物にどんな嫌なキャラクターが出てきても、全く気にしないタイプです。ヒーローとヒロインが幸せになれればそれでいいし。
 
最後に、私が一番気に入っているシーンを紹介します。
 
ある農場の主人が手術することになり、ヘンリーがマチルダに手術の間、農場で小さな男の子の世話をしながら留守番してくれないかと頼んだときのことです。
〈引用〉
――本当は牛にでくわすのが怖いし、ましてや人里離れた農場で幼い男の子と全く知らない農場労働者と半日を過ごすかと思うとたじろいでしまう。それをドクターに正直にうちあけるべきなのだろうか?
マチルダは彼の穏やかな顔を見上げ、黙っていようと決めた。わたしは彼を愛している。彼のためならどんなことでもするつもりだ。牛の1頭や2頭に怖気づいてどうするの――
 
 本当に天晴れな娘さんです。こういう女の子大好き。

Visiting Consultant

Visiting Consultant(邦訳されているかどうかは不明)    初版:1969

ヒロイン:Sophia Greenslade(看護師)
ヒーロー:Maximillan Oosterweld(医師、オランダ人)
  
    うーん。こういった話が好きかどうかは、個人の好みによるところですが、私はこの作品のヒロインに一言言いたい。「人の話は聞け!」
 
Sophiaの気持ちはわからないでもないんです。美人でもない自分が、Maximillanのようなハンサムで地位も名誉も財産もある独身男性に好意を持たれるなんてことは、よほどの楽天家でない限りまず信じられない。おまけに、Maximillanに要請されてオランダに行ってみれば、着いた早々ゴージャスな美人が親しげにMaximillanと話すところを見せ付けられるわ、その上同僚の看護師からも2人の関係は親密なものだと聞かされるわ……。そんな状況では「ええ、わかりましたよ、わかってますよ!」と、それ以上耳を塞ぎたくなるのもわかります。
 
でも、Maximillanがせっかく話があるといっているのだから、せめて落ち着いて聞いてあげて。聞くだけでいいから。聞かなかったばかりに彼を激怒させ、その後で真相を知るという惨めなことになったのです……。
 
この作品はペーパーバックで読みました。邦訳されているものだったら辛いシーンはばーっと読み飛ばすんですが、それも出来ずに、胃が痛くなる思いでちっくりちっくり読んでいきましたよ。ああ、私の方が辛かった。最後、別れる間際でSophiaがMaximillanに告白する場面ではぼろぼろ泣いたし。
 
Sophiaには実は一言だけではなくいろいろ言いたいのですが、作品自体はそんなに嫌いではないんです。Maximillanが美女と親しく付き合っていなければならなかった理由というのが切ない話で、こんな事情じゃ、彼を責める訳にはいかんよなあ……と。
 
それに、この作品にはニールズの処女作「赤毛のアデレイド」の主人公たちが、Maximillanの友人夫妻という形で登場します。ニールズの作品では時々こういうことがあるのですが、それを探すのも楽しみの一つです。
 
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HN:
Mrs Green
年齢:
58
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1965/07/23
職業:
主婦
趣味:
ありすぎて書ません
自己紹介:
夫と子供2人の専業主婦です。
宮崎生まれで、現在沖縄に住んでいます。
青い海も好きですが、それよりふるさとの緑の山々が恋しい……。
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