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翡翠館 庭園

デザインを替えてみました。少しは読みやすくなったかも。前のデザインの方が雰囲気はよかったんですが…… イギリスのロマンス小説の作家、ベティー・ニールズの紹介をしていきます。独断と偏見と妄想にもとづくブログです。どうかご容赦を……。
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指輪のゆくえ


指輪のゆくえ 原題:The Gemel Ring 初版:1974
ヒロイン:チャリティ・ドーソン(看護師)
ヒーロー:エフェラルド・ファン・テイレン(医師、オランダ人)
 
 この作品は、私の中ではかなり微妙な作品です。好きなんだか、嫌いなんだかよくわからない。どちらでもないってわけでもない。好きなんだけど気に入らないところがあると言うか、気に入らないんだけど、どうしても引き付けられる所もあると言うか……。
 
 気に入らない点から言いましょう。ヒーローの性格です。傲慢で皮肉屋で意地が悪い。そもそも、最初に出会ったときの台詞が「英語で話そう。君のドイツ語の英語訛はかなり耳につく」ですからね。それから偶然の悪戯なのか、誰かによって仕組まれた罠なのか、チャリティはあるアメリカ人の看護を頼まれ、ハーグの地でエフェラルドに再会してしまうのですが、そのときも、彼はチャリティに対して喧嘩を売ってるとしか言いようのない無礼な態度をとります。これでは、ただ、ハンサムで有能な外科医という以外何のとりえもない(それだけで十分という人もいるかとは思いますが)男ですよ。エフェラルドは。でも、そんな彼をチャリティは愛してしまうんですよね。
 
 話が進むうちに、エフェラルドのチャリティに対する素っ気無い、というより、辛辣な態度は愛情の裏返しだということがわかってきますが、それではまるで好きな女の子を苛める小学生ではありませんか。40歳のいい歳した男性のすることかな。しかも、自分がチャリティを愛しているということに気付いたのが、実に物語の4分の3を過ぎてからで、いくらなんでも遅すぎるし、鈍すぎる……。
 
 この作品を部分的にでも良いな、と思えるのは、他の作品と同じように、ヒロインの性格が良いからです。チャリティは背が高く、スタイルも良く、美人で、しかも有能。看護に関することばかりではなく、フランス語は流暢だし、ドイツ語は訛があるとはいえ話せるし、車のA級ライセンスももっているという、スーパーウーマンです。それなのに、それを鼻に掛けることもなく、むしろ、隠そうとするあたり好感が持てます。本来なら、地位と富だけでなく性格的にも申し分ない男性に愛されてしかるべきなのに、相手が悪かったとしか言いようがない。
 
 エフェラルドの性格が気に入らないと言いながら、それでも何度も読み返してしまうのは、とどのつまり、恋に不器用な男なりに、エフェラルドが真剣にチャリティと向き合っているからではないのかな。今気が付いたけど、この作品では最後のプロポーズのシーンを除いて、エフェラルドの心境が語られている箇所が全くない。あるのは彼の言動だけ。言動だけを見てみれば、ただの意地の悪い男なんだけど、その裏で、彼がわけのわからないチャリティへの想いにもがき苦しんでいるんだろうなと、想像すると、何となく微笑ましくもなりますね。だから、1回目読んだときは気に入らなくても、何度も読み返していくうちに好きになってくるのかもしれない。
 
 それに、この作品を救っているのは最後のプロポーズのシーンです。チャリティへの想いを語るエフェラルドには傲慢さも冷淡さもありません。ただただ優しくて情熱的で、これがエフェラルドの本当の姿ならいいのだけど、いや、そうだと思いたいと、思うのです。
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HN:
Mrs Green
年齢:
58
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性別:
非公開
誕生日:
1965/07/23
職業:
主婦
趣味:
ありすぎて書ません
自己紹介:
夫と子供2人の専業主婦です。
宮崎生まれで、現在沖縄に住んでいます。
青い海も好きですが、それよりふるさとの緑の山々が恋しい……。
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