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翡翠館 庭園

デザインを替えてみました。少しは読みやすくなったかも。前のデザインの方が雰囲気はよかったんですが…… イギリスのロマンス小説の作家、ベティー・ニールズの紹介をしていきます。独断と偏見と妄想にもとづくブログです。どうかご容赦を……。
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二人のティータイム

二人のティータイム (原題:Dearest Mary Jane 初版:1994年)

ヒロイン:メリー・ジェーン・シーモア(喫茶店経営)
ヒーロー:トマス・ラティマー(医師・イギリス人)

 この話も好きな話だ……。

 主人公のメリー・ジェーンは幼いころに両親を交通事故で亡くし、伯父の家に世話になっていましたが、その伯父が亡くなった時、彼女は小さなコテージを遺産としてもらいました。彼女はさっそくそのコテージを改装し、生活の糧を得るため喫茶店を始めます。なかなか儲からないけど、一人が食べていく分くらいの収入はそこそこ得られて小さな村の中で平和に暮らしていましたが、ある日、彼女が店を閉めようとしているところにトマスが我儘な女性をつれてやってきます。彼の強引な態度を気に入らないと思ったメリー・ジェーンでしたが、それから偶然のいたずらのように何度かトマスと出会ううちに……。

 1人で喫茶店を切り盛りしているあたり、「聖夜に祈りを」のアマベルに似ているし、流感にかかったメリー・ジェーンを実家に連れて行って看病する(というか、母親に看病させる)あたり、「片思いの日々」に似ているし、トマスが他の女性と結婚すると思い込んで、彼につらく当たって後で後悔するあたり、「大聖堂のある町」に似てる……、とまあ、ニールズおなじみのいろいろな要素が組み合わさってできているような話ですが、それなのにこの話が私の心の中で埋没してしまわず、いつまでもお気に入りの作品になっているのは、この作品はこの作品にしかない要素があって、それがとても印象深いからなのです。

 1つは、メリー・ジェーンがクリスマスに向けて少しでも収入を増やそうと、仕舞ってあった古着を活用して小さな鼠の人形や小物を作って店で売ったり、パーティーに招待された時、ドレスを買う予算がないから、と生地を買って自分でドレスを縫うシーンです。彼女が夜なべ仕事をして一つ一つ丁寧にねずみを作る姿を思い浮かべて思わず涙ぐんでしまいました。いじましい、でも妙に平和で静かなシーンです。

 もう一つはトマスの大立ち回り。ある日、メリー・ジェーンの店に数人の若者が狼藉を働いて店を壊し始めますが、そこに現れたトマスがそのならず者たちを叩きのめします。いや、ほんと。今まで、ヒロインを助けるために悪者を殴ったり脅かしたりするヒーローはいましたが、ここまで徹底的に暴れたヒーローは今まで読んだ中では彼だけです。整形外科のお医者さんなのに、自ら患者を増やすような物凄さ…….倫理的にいいのか?それで。

 ところで、この話の最初に出てきた我儘な女性が、ヒロインの恋敵になるのかと思いきや、実は恋敵になるのはヒロインの実の姉、しかも美人でモデルで都会で華々しい活躍をしているフェリシティです。実の(あるいは義理の)姉(あるいは妹)が恋敵という話も結構ありますよねえ……。でも、結局ヒーローの心を射止めるのは健気で心優しいヒロインです。

 この物語は9月に始まってクリスマスを迎え、そして新年へと続いていきます。まさに今の季節そのもので、秋の夜長に読むにはぴったりの作品だと思います。
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誕生日:
1965/07/23
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趣味:
ありすぎて書ません
自己紹介:
夫と子供2人の専業主婦です。
宮崎生まれで、現在沖縄に住んでいます。
青い海も好きですが、それよりふるさとの緑の山々が恋しい……。
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