翡翠館 庭園
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聖夜に祈りを
聖夜に祈りを 原題:Always and Forever 初版:2001年
ヒロイン:アマベル・パーソンズ (B&B経営)
ヒーロー:オリヴァー・フォード(医師、イギリス人)
もうすぐクリスマスなので、クリスマスにちなんだ話をご紹介。
実はニールズの作品って、ほとんどが秋から始まって冬にクライマックスという話か、春から始まって夏にクライマックスという話のどちらかなので、必然的にクリスマスが絡んでくる話が多いのです。
で、クリスマスに関するもので私が好きな話の1つがこの「聖夜に祈りを」です。これは2001年に亡くなったニールズの、2001年に発行された本なので、もしかしたら遺作かもしれません。
さっき書いたように、ニールズの話は秋に始まって冬にクライマックスという話が多いのですが、この作品の始まりは夏です。ある、夏の嵐の夜、B&Bを経営するアマベルのところに、ヒーローのオリヴァーが母親と2人で泊まりに来ることからこの話は始まります。アマベルは父親を亡くし、母親と2人暮らしだったんですが、この時点ではその母親はカナダの姉の所に行っていて、B&Bにはアマベルだけが残されています。そんなアマベルのことが、宿を出てからも何となく気になるオリヴァー。そして、彼は忙しい合間を縫うように、アマベルのところを訪れるのです。母親がカナダで再婚したと聞かされショックを受ける彼女を慰めたりなんかしますが、この時には妹のように彼女と接しています。
やがて秋になり、母親が新しい夫と一緒に帰国。新しい父親はB&Bを廃業して収益性の高い農園を作ると言い出し、アマベルが大切にしている犬と猫を虐待しようとするのに切れたアマベルは家を出て、伯母を頼ってヨークシャーに行きます。それを聞いたオリヴァーはヨークシャーまで会いに行ったり、仕事を世話したりとしているうちに……。
オリヴァーは優しい、もう、本当に優しいヒーローで、読んでいるこっちまでが優しさに包まれているような気になるくらいです。よく、ニールズの作品の謳い文句に「穏やかな優しさに包まれます……」とかいうのがありますが、いや、もう、この作品がそれ、そのまんまなんですよ。ある種の癒しを感じます(世知辛い世の中や、日々の忙しさに疲れた人にはお勧めです)。
でも、だからと言って、2人の恋に障害がないかといえばそうではなくて、ちゃんと恋のライバルも存在し、いろいろと2人の仲を邪魔してきますが、それがかえってオリヴァーにアマベルへの想いを掻き立てさせることになったのかもしれません。
翻訳者の訳し方によるのかもしれませんが、アマベルがとてもかわいらしく描かれているように感じるのは私だけでしょうか。彼女は26歳で(多分そうだったとおもいます)、一人でB&Bを切り盛りできるほどしっかりした女性ですが、何となくそれよりももっと幼く感じられる所があって、そういうアマベルの可愛らしさも相まって、ほんわかした気分になる、そんな作品です。
ちなみに、原題はAlways and Forever で、邦訳タイトルとはちょっと違うんですが、これは本当に最後のシーンで、オリヴァーにキスをされてプロポーズされたアマベルが「いつも、今みたいにキスしてくれる?」と尋ねた時、それに答えたオリバーの台詞「ああ、いつも、そしてこれからも永遠に、ダーリン」から来ていると思います。この台詞は、ニールズの作品すべてのラストに出てくるべきですよね。いつも、永遠に、二人がしあわせでありますように。
宮崎生まれで、現在沖縄に住んでいます。
青い海も好きですが、それよりふるさとの緑の山々が恋しい……。